日本ファンクショナルダイエット協会
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斎藤糧三・副理事長が日本獣医師会の市民公開シンポジウムに参加しました。

「肉食で健康的に痩せる!」食事法に、和牛の肥育関係者も高い関心

2月28日(日)、秋田県秋田市で「食の安全を守る獣医師」をテーマとする市民公開シンポジウムが開かれました。「食で日本を健康にします!」を宣言するJFDAからは斎藤糧三副理事長がパネラーのひとりとして登壇、ケトジェニックダイエットの講演を行いました。

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管理獣医師を知っていますか?

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5人の演者からなるシンポジウムは、秋田キャッスルホテル4階にて、日曜日の朝9時からお昼の12時まで開かれました。日本獣医師会の「獣医学術学会年次大会(秋田)」の最終日を飾る、市民参加型のイベントです。テーマは、「食の安全を守る獣医師——管理獣医師を知っていますか?」というもので、農場管理獣医師協会会長の北村直人先生が座長です。

北村先生は、「食で日本を健康にします!」という当協会の理念に賛同をいただいている獣医師にして農林水産副大臣をつとめた元政治家です。2001年に日本でも起きたBSE騒動以来、「生産現場の獣医師は、消費者に食の安全・安心を提供しなければならない」をモットーに地道な活動をしておられます。

TPPという黒船が押し寄せようとしている日本の農業、とりわけ畜産業界は大きな変革期を迎えています。生産に携わる畜産農家は減る一方で、経営は大型化・専業化が進んでいる。BSEや、鳥インフルエンザ、あるいは本年1月に韓国で発生した口蹄疫などの伝染病が広まる可能性はむしろ従来よりも高まっているとも言えます。つまり、畜産動物の健康と衛生状態を管理する「管理獣医師」の役割はますます重要になっているわけです。

今回の秋田での市民公開シンポジウムは、管理獣医師という存在を改めて日本国民にアピールし、管理獣医師のなり手を増やすことを目的としているのでした。「我が国の産業動物獣医師を取り巻く情勢」と題した、農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課の課長補佐、大石明子さんの基調講演によれば、こういうことです。ちなみに、獣医師というのは農林水産省の管轄なんですね。


管理獣医師は10年前比5%減っている

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市民公開シンポジウムということで、大石さんはそもそも獣医師とはなんぞや、というところから語り始めました。日本の獣医師制度は、1885(明治18)年に発布された法律が最初で、当時は軍馬の増産、治療を目的とするものでした。『坂の上の雲』だったんですね。現行の獣医師法は1949(昭和24)年に制定されたもので、国民にタンパク源を広く提供するために家畜を増産する重要な立場、と位置づけられているそうです。

この日は家畜の診療を業務とする先生方のお話ですが、現在、獣医師登録されているのは3万9000人。そのうち、牛や鶏など産業動物を診療する獣医師は約4300人、家畜伝染病などの防疫、食品衛生監視などの行政に携わる獣医師が約9500人、家族同然のペットの診療に従事する獣医師が一番多い1万5200人などとなっています。

産業動物獣医師は全体の11%しかいません。10年前と較べると5%減少しているそうです。毎年1000人が獣医師として大学を卒業していて、その数自体は減っていない。畜産をこころざす若者が減っている原因は、ようするに家畜の飼養戸数と飼養頭数が減っているからです。需要が減っているわけですから、供給側の数字が落ちるのも当然です。ところが、前述したように、飼養規模の拡大により、集団管理衛生に関する要請はむしろ高まっている。農林水産省としては危機感を持っているわけです。

2010(平成22)年の宮崎県における口蹄疫の流行を教訓にしています。鳥インフルエンザも数件ずつ発生して話題を集めています。家畜の病気の予防、早期発見、早期通報につとめ、蔓延を防止する。生産者の方には国が定めた飼養衛生基準を守ってもらわなければならない。そのために管理獣医師が必要とされるのです。

動物は生きています。だから病気になる。医薬品も使われます。その薬の使い方を間違えると、薬の効きが悪くなったりもします。獣医師は欠かせないのです。

ちょっと宣伝させてください。農林水産省では獣医師を志す学生を対象に修学貸与金を出しています。ご興味のある方は、ぜひ農林水産省のホームページ等で確認してください。月額上限10万円(私立大学は12万円)以内を貸与します、ということを大石さんは伝えたかったのでした。そのホームページによると、貸与期間の1.5倍の期間、産業動物獣医師として従事すると返還は免除されるみたいです。

「われわれの総元締めの農林水産省から、きめ細かな対応策についてご講演をいただいた次第です」と北村座長が締めくくりました。


現場からの報告:管理獣医師の役割とは?

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「食卓の安全は農場から」を実現するために、現場ではどんなことがなされているのか。食について関心を持つJFDA会員諸氏にも「肉牛飼育における管理獣医師の役割——食の安全と従事者教育」についてお伝えしましょう。農場管理獣医師協会の事務局次長である大橋邦啓先生の講演です。食の安全性を守るために、演題通り、管理獣医師として従業員をどのように教育するか、がテーマです。

とにかく農場の規模が大きくなりながら軒数が減っていく時代だから、どうしても従業員を外部から招くことになる。ところが、従業員となる彼らは初心者であることが多い。

たとえば、生後10カ月の牛を導入した肥育農場ではどのようなことをやっているか。昔は経営者が、病気の牛がいたら俺に言え、と従業員に言っていた。ところが経験のない従業員にはどれが病気なのかさっぱりわからない。変だなとは思ってはいても、誰にでも変だとわかってから、あの牛がおかしい、ということになりがちで、これでは手遅れになる。衛生状態がよくなり、事故率は平均0.5%でだんだん下がってきてはいる(事故率は健康畜で出荷以外の廃用と死亡をもとに算出)。ところが事故率が高い農場もある。観察が十分でない。連絡、情報の共有化がなされていない。きちんとした記録がなされていない。労働時間が長い。労働者の知識が不足している。これが事故率の高い農場に共通した特徴である。

牛の肥育農場での病気は9割方、決まっている、と大橋先生は言います。それをどうやって従業員の人たちにちゃんと見てもらうか。エサをあまり食べない、では遅い。エサはよく食べているけれど、休憩時間での様子が変、と気づくのが事故の少ない農場である。安い薬でも十分効いてくれる。大事なことは食欲のある段階で気づくこと。現場で現在起きていることを具体的に紹介しながら、大橋先生が説いたのは、ごく普通のことです。

人によって病気の発見に差があるのは当然です。それを補うのが、コミュニケーションです。内部コミュニケーションを密にして、要注意の牛を早期発見する。もし見つけたら、複数人で観察する。それには「個体カード」を活用して、確実な記録をつけることです。

個体カードとは、BSE騒動をきっかけに導入された牛の個体識別番号が書かれたカードのことで、月齢、買った金額等、いろいろ書いてあります。ある農場では、個体カードは通路に張り出してあります。要注意の牛は、個体カードの位置を斜めにしておく。引き継いた人もすぐにわかる。個体カードと牛を照合する。治療したら、カードに書き込む。なにより観察が重要です。牛と人との距離が問題になるそうです。人が近づくと、寄ってくる牛とこない牛がいる。こっそり近づくことも大切です。

出荷半年前になると、投薬履歴が重要になる。血統、金額等まで考えながら見て回る。牛は横になって寝たままでいると、ガスがたまって死んでしまう。2時間ごとに見回って起こす必要がある。そうすると、事故は格段に減る。牛は社会性のある動物で、同じ牛舎の囲いの中に4頭が入れられている場合、下位の牛は寝ている時間が短くなる。1位と4位は誰でもわかる。でも、2位と3位の牛は順位が変わったりする。それを従事者がちゃんと理解しているかどうか。

和牛の場合、1頭死亡すると、100万円以上の損失になって経営を圧迫する。事故は絶対に出さないようにしなければならない。たとえば、従事者に体重当てクイズを出す。初めは当たらないけれど、観察力がついてきて、当たるようになる。

管理獣医師の消費者に対する責任は重い。「BSEのときに体験したことですけれども、誰も買ってくれなかったら何にもならない。買ってもらって再生産につなげる。消費者のために畜産者は牛を育てている。消費者に望まれる生産物をつくっていきましょう」。大橋先生は苦い経験を明るく語って、講演の結びとされたのでした。


流通から管理獣医師に望むこととは?

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3つめの講演は、「流通から見たFMVA認証と生産現場に望むこと」です。株式会社ミートコンパニオン常務取締役・植村光一郎さんのお話です。ミートコンパニオンは東京都立川市に本社を置く食肉の卸会社ですが、フクシマの原発の事故の際、肥育牛のセシウム検査を始めるなどしています。

TPPに寄って、日本の畜産物を海外に持っていかなければならない時代がすぐそこまで来ている。世界の獣医師はどういうことをやっているか。カナダやアメリカの輸出協会では、獣医師が日本、韓国、中国に行って、自国の生産物の安全性についてアピールしている。日本の獣医師もフィールド(農場)の中にいるのではなくて、外に出て、フードチェーンの一躍を担う。それが求められている、と植村常務は語ります。

日本には個体識別番号が生後7日以内につけられることになっています。日本の場合、子牛の生産農家と肥育農家が分かれている。ロッキーがパンチの練習に使った状態の枝肉になっても、ラベルが貼ってあって個体識別番号がわかるようになっている。

これからの管理獣医師は食品として消費者に届くまできちんと関与する必要がある。生産フィールドでの優位性や食品の安全性のアピールまで主導権を確保せよ。そして食品の価値を上げよう、と訴えます。

日本の畜産物は、ただ「おいしい」ということでしか評価されていない。

ところが、ヨーロッパでは放し飼いの牛はアニマルウェルフェアのなど、「生産工程の優位性」が付加価値として価格に反映されている。イギリスではフリーレインジ(放し飼い)の牛は3割も高い。それがきちんと管理できるのは獣医師である。TPPによって日本も牛肉を海外に出すとなれば、こうした考え方が必要です。ところが、国内の現状は、牛肉の枝肉の評価は、サシ、色、キメ、しまり、脂の質の4項目で格付けされる。それも食べて味を見るわけではない。目視で決まっている。また、松坂、前沢、米沢、山形のハンコが押してあると付加価値として認められるけれど、それ以外のブランドは評価されない。残念だ、と植村さんは言います。

個体識別番号は、スーパーに並べられるときはロット番号に変わってしまう。せっかく農家で個体識別番号をつけているのに流通の末端まで繋がっていない。消費者には賞味期限ぐらいしかわからない。

FMVA認証とは、BSE騒動以来、Farm Management Verinary Association(農場管理獣医師協会)が取り組んでいる制度で、個体識別番号にもとづく生産履歴を消費者に情報開示し、安全性を担保しようとするものです。フクシマの原発事故後、埼玉県と群馬県の和牛を2012年にタイに売り込むことができたのは、この制度のおかげだ、と植村さんは認識している。

アメリカでは和牛とアンガス牛の交雑の「和州牛」と紛らわしい牛肉ブランドが登場している。あるいは、イギリスのハロッズでは「WAGYU」が1㎏395ポンド、1ポンド200円とすると1kg約8万円で売られていることになる。世界のマーケットを考えたとき、生産工程の優位性を正しく情報発信すれば、もっと高く売ることもできるだろう。

「食育」という言葉がしばしば使われる。食育は親子の料理教室ではない。ひとつは食材に感謝する。食材には命がある。ふたつめは「選食」、いい食材を選ぶ。3つめは、食材を通して世界の環境を考える。いい生産者の価値を認めてフェアトレードを実行する。日本では分断されている生産業者から販売業者、消費者までつながるフードチェーンをつくりあげることが重要で、そのコントロールをするのが日本の管理獣医師である。と植村常務は訴えるのでした。

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あなたも私もみんな消費者です

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「じつは管理獣医師が流通の中身まで知ることは少ない」と北村座長は講演の狙いを語りました。4つめの講演は、「消費者から見た食の安全・安心」です。さいたま市消費者団体連絡会などの代表をつとめる、消費生活コンサルタント、廣田美子さんが登壇しました。消費者とは誰なのか? 専門家ではない。クレームをつけるうるさいおばさん? あなたも私もみんな消費者です、というのが廣田さんの主張です。

食をめぐる近年の状況として、廣田さんは2001年のBSE騒動が消費者行政のエポックとなった事件と位置づけます。これが生産者主体から消費者主体に行政の考え方を変えさせたのです。牛肉のひき肉の中に豚肉を入れたミートホープの偽装やら、「赤福」や「白い恋人」といった有名商品の賞味期限改ざん事件、名門料亭「吉兆」の事件やら、伊勢エビではないエビを伊勢エビとして販売するのが、一流ホテルや百貨店でもいわば慣習となっていることがバレた食材偽装などなど。ユッケによるO157食中毒事件で、2012年には生レバーの販売・提供が禁止になったのは記憶に新しいところです。

2015年には肥料偽装もありました。肥料の偽装があると、有機栽培がウソになってしまうのです。今年もCoCo壱番屋の廃棄処分の食材がスーパーに並ぶというショッキングな事件も起きました。

2004年に消費者保護基本法ができた。2009年には待望の消費者庁が誕生した。2015年には食品表示法ができて、「機能性食品」も登場している。

BSE騒動以後、牛の全頭検査が始まった。個体識別番号は消費者にとって大きな安心感につながっている。偽装米の事件の後、米のトレーサビリティも始まっている。ただし、米は牛と違って機能していない、と廣田さんは指摘します。

メディアの報道やコマーシャルの不可思議さについても、消費者の立場から過去の話題を列挙しました。生レバーが販売禁止になった時には、食べられなくなるという報道があふれ、NHKのアナウンサーまで「私も昨夜、生レバーを食べてきました」と煽った。禁止になる前に生レバーを出す店に消費者が殺到した。

消費者はスーパーで売られているものを買うしかない。商品を間に挟んでの生産者とのコミュニケーションがなくなっている。それが昨今の直売所ブームにつながっている、と廣田さんは分析する。埼玉県では月一の県庁朝市が開かれていて、決して安いわけではないけれど、生産者さんがはっきりわかって、鮮度の高いものが得られる。肉系はないので、密かに販売して欲しいと願っている。

牛肉等についても、消費者は生産者さんのことをもっと知りたいと思っている。安全性だけではなくアニマルウェルフェアなど、生産者のこだわりがわかれば、購買の動機にもつながる。普段はできるだけ安いものを買いたい。でも、特別の日にはいいものを買いたい。こだわりの商品は高くても購入する。エンドユーザーである消費者に安全な食品が手に届くことを願っている。

1962年、アメリカのジョン・F・ケネディ大統領が「消費者の権利保護」について一般教書でうたったことが始まりとなって、「消費者の権利」という考え方が確立している。これが日本の消費者行政のもとになっている。ケネディは次の4つを挙げました。

・安全である権利
・知らされる権利
・選ぶ権利
・意見を聞いてもらえる権利

これに、「消費者教育を受ける権利」が足され、さらにその後、権利と責務という考え方も生まれた。「私たち消費者も学んでいきたい」と廣田さんは締めくくりました。

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肉食とケトジェニックダイエット

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「最後にドクター斎藤先生。お医者さんでございますが、肉食、お肉を食べてダイエットしよう、という肥育農家にとって非常に嬉しい医療現場の先生でございます……」という北村先生の紹介の後、「肉食とケトジェニックダイエット〜次なる展開へ〜」と題した講演を斎藤糧三先生が行いました。JFDAの会員の方にはすでにお馴染みの斎藤流肉食ダイエット。和牛の肥育に携わる方が多いであろう中、斎藤先生はこんなデータを披露しました。

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オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は体内で合成できないため、必須脂肪酸と呼ばれています。オメガ6はサラダ油などに含まれているため、とりすぎる傾向にある一方、青魚、アマニ油、エゴマ油、サチャインオイルなどに含まれるオメガ3は意識しないととりにくい。ケトジェニックダイエットではオメガ3を毎日小さじ1杯とることを勧めています。問題はオメガ3とオメガ6のバランスで、オメガ3:オメガ6=1:4が理想です。国産リブ焼きに比べて牧草牛焼きはオメガ3が豊富で、オメガ6が少ないことがわかります。

私たちの身体が食べたものでできるのと同様、牛も食べたものでできています。トウモロコシを食べて育った牛は、トウモロコシ由来の脂のバランスになる。青魚の代表であるアジのオメガ3が多いのは、海中の植物性プランクトンを食べているからです。養殖の魚は、穀物だったりするので、同じアジでも養殖のエサの脂のバランスをそのままいただくことなります。牧草を食べて育った牛は植物由来の脂のバランスになるわけです。

ドクター斎藤理論では、それゆえ牧草牛こそ陸の青魚であり、ケトジェニックダイエットのスーパーフードとして勧めなのです。和牛肥育の関係者には耳慣れない、それでいて獣医師のみなさんにはわかりやすい理屈だったようです。講演後の質疑応答でも、斎藤先生のお話は興味深かったという声が複数聞かれました。日本の肉牛肥育のターニングポイントになるかもしれません。

斎藤先生の講演の後、北村先生はこんな感想を述べました。 「私の頭の中にインプットされているのは、良質なタンパク質を食べて、がんを撲滅しましょう、ということです。撲滅はともかくとしても、がんになりにくい体質をつくっていくのは大事です。それには良質なタンパク源、いわゆる肉を食べようということです。先生、ありがとうございました」

2014年に「食で日本を健康にします!」をキャッチフレーズとする日本ファンクショナルダイエット協会は、ますます活動の幅を広げています。機能性医学に基づいたケトジェニックダイエットの伝道は来月も続きます。

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